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設計3(設計編 第3回)・ 学修目標・行動動詞

「理解する」では測れない — 学修目標の書き方

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ナレーションは合成音声。監修待ち(開発版)。

この回の解説記事
📖 学修目標の書き方 — 「理解する」では測れない

深掘りの読み物 ・ 約10分

台本を読む(制作用ドラフト・監修待ち)

[映像] 深夜の研究室。シラバスの「到達目標」欄で点滅するカーソル。手が「循環器疾患を理解する」と打ち込み、一瞬止まる。 [テロップ] その目標、到達したか”判定”できますか?

締め切り前の深夜、シラバスの目標欄に「循環器疾患を理解する」と打ち込んで、次のコマへ——。よくある光景です。責める話ではありません。私たちの多くは、目標の書き方を習ったことがないのですから。でも、この一文がのちのち効いてきます。試験問題を白紙から悩むのも、実習で何を求めればいいか迷うのも、根っこはここにあります。今日は、目標を「測れる言葉」に直す技術をお伝えします。

[テロップ] 「理解する」を3つの問いにかける

まず、なぜ「理解する」ではだめなのか。三つの問いにかけてみましょう。外から観察できますか——いいえ、理解は頭の中にあります。測定できますか——いいえ、理解の量を測るものさしがありません。到達を判定できますか——いいえ、基準が人によってばらばらです。三つとも「いいえ」。つまりこの一文は、目標の顔をして、目標の仕事をしていないのです。「学ぶ」「熟知する」「把握する」も同じ仲間です。最初のチェックはただ一つ、「これは外から観察できる行動か?」。

[映像] 二階建ての家のイラスト。二階に「一般目標=科目の方向」、一階に「個別行動目標=測れる行動」が並ぶ。 [テロップ] GIO と SBO の二階建て

目標は二階建てで考えます。二階が一般目標——科目が目指す大きな方向を示す、いわば北極星です。多少抽象的でかまいません。一階が個別行動目標——その北極星に近づくために学生が具体的にできるようになることを、観察可能な行動で書きます。一つの一般目標の下に、測れる個別行動目標が複数ぶら下がる。試験で問えるのも実習で確かめられるのも、この一階のほうです。

[映像] ブルーム・タキソノミーの六段の階段。下から記憶・理解・応用・分析・評価・創造。各段に代表的な行動動詞が浮かぶ。 [テロップ] 水準に優劣なし。育てたい高さに動詞を合わせる

一階の目標を書く鍵が、行動動詞の選び方です。ブルーム・タキソノミーは、思考を六つの水準で整理した階段です。下から、記憶する、理解する、応用する、分析する、評価する、創造する。それぞれに相性のよい動詞があります。記憶するなら「列挙できる」、理解するなら「説明できる」、応用するなら「適用できる」「選択できる」、分析するなら「鑑別できる」「比較できる」、評価するなら「批判できる」「優先順位をつけられる」、創造するなら「立案できる」「設計できる」。ここで大切なのは、六水準に優劣はないということ。「創造する」が偉くて「記憶する」が下等なのではありません。基礎科目で「列挙できる」「説明できる」が中心なのは当然ですし、臨床実習では「鑑別できる」「評価できる」が主役になります。育てたい能力に、動詞の高さを合わせる。そして——「理解する」ことそのものは測れなくても、「説明できる」「区別できる」なら測れる。内面の状態を、外に出る行動に翻訳する。これが目標を書く作業の核心です。

[テロップ] ライブ添削 [映像] 赤ペンが悪い目標文に線を引き、下に良い目標文を書き足していく。

三つだけ添削しましょう。「心臓の生理を理解する」は、「圧容積曲線を用いて心周期の圧・容積・弁の関係を説明できる」に。「胸痛について学ぶ」は、「急性胸痛の患者で急性冠症候群・大動脈解離・肺塞栓症を鑑別する初期方針を述べられる」に。そして要注意なのが「病歴聴取を指導する」——文末が「指導する」、これは教員の行為です。目標の主語は学生でなければなりません。「初診患者に系統的に病歴を聴取し、陰性所見を含めて要約できる」と直します。測れない動詞、内容の羅列、教員の行為——この三つが、ありがちな失敗です。

[映像] K教授が12コマ分の古い目標に赤を入れていく。「記憶」「理解」の付箋が10枚、「応用」「評価」が2枚だけ、という偏りが可視化される。 [テロップ] 成績は良いのに病棟で動けない理由が、目標の偏りに現れた

連続事例のK教授。前回、循環器ユニットのアウトカムを「心不全を疑う患者を評価し初期対応を判断できる」と書き直したところでした。今回はその下の12コマ分の目標に取りかかります。古いシラバスには「病態生理を理解する」「弁膜症を学ぶ」と、測れない動詞とトピックの羅列が並んでいました。一つずつ翻訳していくうち、あることに気づきます。ほとんどが「記憶する」「理解する」水準に固まっていて、実習で必要な「応用する」「評価する」の目標がほとんどなかった。成績は良いのに病棟で動けない理由が、目標の水準の偏りとして目の前に現れたのです。K教授は「胸部X線・BNP・所見を統合して心不全の可能性を評価できる」といった上の水準の目標を三つ書き足しました。

[テロップ] 次回: 教育方略の科学 — 講義を超えて

まとめます。「理解する」は測れないから目標にならない。一般目標で方向を示し、その下に個別行動目標を行動動詞で並べる。動詞はブルーム・タキソノミーの水準に合わせ、主語は必ず学生に。「誰が・何を・どの条件で・どこまで」が揃っているかを確かめてください。次回は、書き直したこの目標をどう授業に落とすか——教育方略のお話です。

理解チェック

選ぶ前に、いちど自分の答えを予想してみましょう(想起練習)。

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監修状態:監修待ち(開発版)