チーム基盤型学習(TBL)— 準備を前提に、チームで応用する
- TBLの標準的な流れ(事前学習→iRAT→gRAT→応用演習)を説明できる
- iRAT/gRATと応用課題の設計原則を述べられる
- ピア評価の目的と運用上の注意を説明できる
ナレーションは合成音声。監修待ち(開発版)。
深掘りの読み物 ・ 約10分
台本を読む(制作用ドラフト・監修待ち)
コールドオープン
[映像] グループ討論の教室。資料を読んできた1人だけが話し続け、残りの学生はうなずくかスマホを見ている。教員が机間を歩きながらため息。
講師:グループ討論の日。1週間前に資料を配り、「読んでくることが前提です」と念を押した。それなのに、読んできたのは各グループに1人か2人。討論は独演会になり、残りはお客さんです。「うちの学生にグループワークは向かない」——そう結論づける前に、考えてみてください。予習しなくても困らない構造、働かなくても許される構造のまま、討論を始めていませんか。今回は、この2つを構造ごと解決する方法、チーム基盤型学習の話です。
[テロップ] 能動2 チーム基盤型学習(TBL)— 準備を前提に、チームで応用する
セクション1:TBLの流れ
[映像] 60分の時間割が横一列に展開:事前学習→iRAT→gRAT→解答の共有と解説→応用演習。各ブロックに所要時間が表示される。
講師:TBLの流れは固定されています。まず学生は授業前に指定範囲を個人で学修する。授業が始まったら、その範囲から出る多肢選択問題を個人で解きます。これが個人準備確認テスト、iRATです。続いて、まったく同じ問題を今度はチームで議論して解く。これがグループ準備確認テスト、gRATです。短い解説を挟んで、残りの時間はすべてチームでの応用演習。つまり、知識の伝達は授業前に済ませ、授業時間は確認と応用に全部使う構造です。開発者はMichaelsen。チューター不要、教員1名で100人を超えるクラスを回せることが最大の特徴です。
セクション2:準備確認テストが事前学習を駆動する
[映像] チームが色カードで答えを一斉に示す。代表の学生が理由を説明し、教員がうなずいて要点を解説する。
講師:なぜ学生は読んでくるようになるのか。iRATの得点が成績に入るからです。評価が学習を駆動する——あの原理を事前学習に応用したのがTBLです。そしてgRATの要は、チームで答えを1つに決め、その理由を言葉にすること。全チームの答えが出そろったら、いくつかのチームに「なぜそれを選んだのか」を説明してもらい、そのうえで教員が正答と要点を解説します。答えを決めてから理由を述べる、この一往復で学修が起こります。しかも、gRATの得点はほぼ必ずiRATの平均を上回る。チームで考えると賢くなることを、学生は毎回データで体感するのです。
セクション3:応用演習の4S原則
[映像] 4枚のカードが順に立ち上がる:重要な問題/全チーム同一問題/明確な選択/同時公開。最後に全チームがA〜Eのカードを一斉に挙げる教室俯瞰。
講師:後半の応用演習には、4Sという設計原則があります。取り組む価値のある重要な問題。全チームが同一の問題。「議論しなさい」ではなくAからEまでの明確な選択。そして回答の同時公開です。ありがちな失敗は、チームごとに別テーマを調べて発表させること。発表形式では聴衆は休んでしまいます。全チームが同じ症例で次の一手を迫られ、カードを一斉に挙げる。答えが割れた瞬間、「なぜそちらを選んだのか」という議論が自然に立ち上がります。教員の仕事は正解の発表ではなく、この対立を掘り下げる進行役です。
セクション4:チーム編成とピア評価
[映像] 名簿がシャッフルされ、多様なメンバーが5〜7名のチームに配置される図。その横に相互評価コメントの吹き出し。
講師:チームは教員が編成します。仲良しグループは禁止。成績や得意分野を分散させ、5名から7名で、学期を通じて固定します。率直に反論し合える心理的安全性は、時間をかけて育つからです。そして固定チームの宿命、フリーライダー問題への装置がピア評価です。メンバーが互いの貢献を評価し合う。ただし監視だけが目的ではありません。コメントを交換させれば、行動を直す機会を与える形成的評価としても働きます。基準を初回に明示し、コメントを必須にし、慣れないうちは成績に入れない形成的運用から始める——この段階的導入が現実的です。
セクション5:K教授の場合
[映像] K教授の教室。gRAT中、普段静かな学生が身を乗り出して発言。応用課題でAとDにチームが割れ、色カードが林立する。
講師:K教授は抗不整脈薬の単元で、TBLを1コマだけ試しました。iRAT10問と応用課題2問を準備し、回答は色カードの一斉挙上。iRATを告知しただけで資料を読んでくる学生が増え、gRATでは普段発言しない学生が根拠を口にし始めます。応用課題ではチームが二手に割れ、指示なしで議論が始まりました。一方で、時間が足りず応用は1問しか消化できなかった。次はテストを短くして応用に時間を回す。「構造が議論を作る」——それがK教授の実感でした。
まとめと次回予告
[テロップ] 今日の要点:①事前学習はRATで駆動する ②応用演習は4S原則 ③ピア評価は基準明示と段階的導入
講師:予習は、お願いではなく構造で担保する。応用演習は4S原則で設計する。ピア評価は基準を示して段階的に。そして導入は、既存科目の1コマからで十分です。次回は、もう一つの代表的な小グループ学修、問題基盤型学習を扱います。学生が症例シナリオから自ら問いを立てる方法——そしてK教授が、初めてのチューター役に挑みます。
[映像] 次回タイトルカード「能動3 問題基盤型学習(PBL)— 学生が問いを立てる」
選ぶ前に、いちど自分の答えを予想してみましょう(想起練習)。
監修状態:監修待ち(開発版)