コンピテンシーで設計する — 本学の出口から自分の科目へ
- コンピテンス・コンピテンシー・学修目標の階層関係を説明できる
- カリキュラム・マップから自分の科目が担う細目とパフォーマンスレベルを特定できる
- 特定した細目とレベルを、科目の学修目標に翻訳できる
ナレーションは合成音声。監修待ち(開発版)。
深掘りの読み物 ・ 約10分
台本を読む(制作用ドラフト・監修待ち)
コールドオープン(約30秒)
[映像] ノートPCの画面いっぱいに広がる巨大なスプレッドシート。横スクロールしても終わらない46列。セルにA、B、C、D、Eの文字。
[テロップ] この巨大な表、読めますか?
講師: シラバスの季節、教務課から届く添付ファイルに、こんな巨大な表があります。縦には1年次から卒後までの科目名、横には46の項目、セルにはAからEのアルファベット。カリキュラム・マップ——本学の教育プログラム全体の設計図です。設計2で扱った「卒業コンピテンシーから科目へのカスケード」を、今回は本学の実物でやってみましょう。読み方が分かると、自分の科目の役割が一目で見えるようになります。
セクション1: 用語の階層 — コンピテンスからコンピテンシーへ(約70秒)
[映像] 3段の階段図。上から「コンピテンス(6領域)」「コンピテンシー(46細目)」「学修目標(行動動詞の文)」。
講師: まず言葉の整理です。コンピテンスは、卒業時に保証する大きな能力の領域。本学では6つあります。コンピテンシーは、各領域を構成する観察可能な要素、つまり細目で、本学では合計46。そして一番下に、設計3で学んだ、行動動詞で書く科目の学修目標が来ます。大きな出口が、観察できる細目に分かれ、科目の文になる。この三層がつながって、初めて出口は教室まで届きます。
講師: この階層の背後にあるのが、コンピテンシー基盤型医学教育、CBMEの考え方です。従来の教育は時間基盤でした。6年間在籍して単位を積めば卒業する。でも「何ができるか」は保証していません。CBMEはこれを能力基盤にひっくり返します。卒業時の学修成果を先に定義し、そこへの到達で卒業を保証する。しかも能力は一度に完成しないので、どの段階まで育ったかを言葉にして追いかける——マイルストーンの発想です。
セクション2: 本学の6コンピテンスとマップ(約70秒)
[映像] 6つのコンピテンスがカードで並ぶ。I〜VIの番号と細目数(10・7・6・6・12・5)。
講師: 本学の6つのコンピテンス。1つ目のプロフェッショナリズムは態度の領域。2つ目の社会的役割の実践、3つ目の科学的探究心、そして6つ目のグローバルな視点は、複数の科目に薄く広がる横断系。4つ目の応用可能な医学的知識は座学の主戦場。そして5つ目の医療実践技能は、12細目と最も多い実践系の領域です。全文は本サイトのコンピテンスページで読めます。カリキュラム・マップは、この46細目と全科目を掛け合わせた表で、各セルに「その科目がその細目をどのレベルまで引き上げるか」が入っています。
セクション3: レベルを縦に読む、横に読む(約90秒)
[映像] マップの1列がハイライトされ、縦になぞられる。続いて1行がハイライトされ、E→D→C→B→Aと色が濃くなっていく。
[テロップ] 縦読み=科目の責任範囲 / 横読み=細目の成長曲線
講師: レベルはAからE。領域5、医療実践技能なら、Aは自発的に実践できる、Bは指導下で実践できる、Cは基盤となる知識、態度、技能を修得している、Dは経験する機会はあるが単位認定に関係ない、Eは経験する機会がない、です。マップの読み方は2方向あります。縦に読むと、自分の科目がどの細目をどのレベルまで引き上げる担当かが分かる。これが科目アウトカムの原材料です。横に読むと、1つの細目が6年間でEからD、C、B、Aへと育っていく成長曲線が見えます。つまり科目とは、担当する細目のレベルを1段引き上げる装置なんです。前の科目からバトンを受け取り、1段上げて、次に渡す。だから、自分の学年でEやDの細目があっても慌てないでください。それは「まだあなたの区間ではない」という分業の明示です。全科目が全部を担おうとすると、結局どの科目も何も保証できなくなります。
セクション4: 二本柱と、目標への翻訳(約80秒)
[映像] 2本の柱の図。左「モデル・コア・カリキュラム(10の資質・能力)」、右「本学6コンピテンス(46細目)」。その間から科目へ矢印。
講師: 出口はもう一本あります。モデル・コア・カリキュラム。10の資質・能力の下に595の学修目標を持つ国家標準で、本サイトのコアカリブラウザで探索できます。コアカリは全国共通の最低保証、本学コンピテンスは本学の医師像。科目はこの二本柱から逆算します。ひとつ注意です。両者の対応表は公式にはまだ整理されていません。安易に一対一で結びつけず、それぞれに別々に答えてください。
講師: 実践は3ステップです。第1に、マップで自科目の列を探す。第2に、担当する細目とレベルを書き出す。第3に、そのレベルを設計3の行動動詞に翻訳する。レベルCなら「列挙できる」「説明できる」。レベルBなら「実施できる」「解釈できる」。レベルCの科目が「実践できる」と書いたら、それはマップとの不整合です。
[テロップ] C=説明できる / B=実施できる
セクション5: K教授、自分の区間を知る(約40秒)
[映像] K教授がマップの「循環器」の列を指でなぞる。IVのセルにC、Vのセルに並ぶEとD。
講師: K教授が「循環器」の列を初めて縦に読むと、担当は領域4の細目でCからD。領域5の細目はこの学年ではEかDでした。「試験で高得点なのに病棟で動けない」のは、マップの上では設計どおり——実践はあとの学年の責任だったのです。ただ、自分の目標文には「評価できる」という領域5の言葉が混ざっていました。K教授は担当レベルに合わせて目標を書き直し、ノートに記します。「私は6年間のリレーの一走者だった」と。
まとめ(約30秒)
[テロップ] 出口は二本柱 / 科目はレベルを1段上げる装置 / 目標はレベルの言葉で
講師: まとめます。出口はコアカリと本学コンピテンスの二本柱。科目は細目のレベルを1段引き上げる装置。そして学修目標は、担当するレベルを行動動詞に翻訳して書く。カスケードの原則は設計2、行動動詞の技術は設計3で扱いました。この2つとあわせて、まずはコンピテンスページで、あなたの科目の列を縦に読んでみてください。そして次回からは能動学修編です。第1回は「講義を能動化する」。設計した方略を、いよいよ教室で動かす番です。
選ぶ前に、いちど自分の答えを予想してみましょう(想起練習)。
監修状態:監修待ち(開発版)