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評価1(評価編 第1回)・ 形成的評価・総括的評価・ミラーのピラミッド

評価の基礎 — 何のために測るのか

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ナレーションは合成音声。監修待ち(開発版)。

この回の解説記事
📖 評価の基礎 — 何のために測るのか

深掘りの読み物 ・ 約10分

台本を読む(制作用ドラフト・監修待ち)

コールドオープン(約30秒)

[映像] 講義終わりの教室。教壇を片付ける教員に、学生が歩み寄る。

講師: 「先生、今日のところ、試験に出ますか?」——講義のあと、こう聞かれた経験はありませんか。試験のためじゃなく患者さんのために学んでほしい。そう思って、少しがっかりするかもしれません。でも、この質問は教育の大原則をまっすぐ示しています。学生は、評価されるものを学ぶ。今日から評価編です。テーマは「何のために測るのか」。

[テロップ] 評価1 評価の基礎 — 何のために測るのか

セクション1: 評価は学習を駆動する(約1分)

講師: 医学教育には有名な言葉があります。「評価は学習を駆動する」。どんなに立派なシラバスを書いても、学生の学び方を実際に決めるのは試験です。期末が暗記中心のMCQなら学生は暗記し、実技が評価されるなら練習します。つまり評価は、成績をつけるための後処理ではなく、カリキュラムの中で最も強力な設計道具なんです。だとすれば、試験を設計することは、学生の学び方そのものを設計することになります。今日はそのための道具を3つ、お渡しします。

[テロップ] 評価は学習を駆動する — assessment drives learning

セクション2: 形成的評価と総括的評価(約1分30秒)

講師: 1つ目の道具は、目的による区別です。評価には2つの顔があります。総括的評価は「学習の評価」。到達度を判定して、合否や進級を決める評価です。期末試験や国家試験がそうですね。一方、形成的評価は「学習のための評価」。学習の途中で現在地を学生に返し、次の学習を方向づける評価です。授業冒頭の小テストと解説、実習中の「今の診察、ここが良かった」という一言。成績には使いません。

料理にたとえるなら、総括的評価はお客さんに出した料理の評価、形成的評価は調理中の味見です。味見をしないシェフはいませんよね。ところが日本の医学部の多くの科目は、味見なしで料理を出しています。15週の科目で、学生が自分の理解を確かめる機会が期末の1回だけなら、軌道修正は不可能です。形成的評価は甘い評価ではなく、学習を成立させるインフラなんです。

[テロップ] 形成的評価=調理中の味見/総括的評価=お客さんの評価

セクション3: ミラーのピラミッド(約1分30秒)

講師: 2つ目の道具は「何を測っているのか」の地図、ミラーのピラミッドです。臨床能力を4つの層で考えます。一番下が Knows、知っている。その上が Knows how、使い方を知っている。さらに Shows how、やってみせられる。頂点が Does、実際の現場で行動できる、です。

[映像] 4層のピラミッド図。下から Knows / Knows how / Shows how / Does が順に積み上がる。

講師: そして評価法には、それぞれ測れる層があります。MCQが測れるのは Knows と Knows how まで。OSCEは模擬状況での実演、Shows how。実際の診療現場での行動、Does に迫れるのは、mini-CEXや実習評価といった現場での観察だけです。ここで大事なのは、上の層は下の層の試験では測れない、ということ。心不全を説明できることと、目の前の患者さんの浮腫から心不全を疑えることは、別の能力です。MCQ満点の学生が病棟で動けないのは、学生の問題である前に、Knows しか測ってこなかった評価設計の問題かもしれません。

[テロップ] MCQ→Knows/Knows how ・ OSCE→Shows how ・ mini-CEX→Does

セクション4: 評価のユーティリティ(約1分30秒)

講師: では、上の層を測る評価だけにすればいいのか。そう単純ではありません。3つ目の道具、van der Vleuten の評価のユーティリティです。評価法の有用性は、妥当性、測りたいものを測っているか。信頼性、誰が採点しても同じ結果になるか。それに教育的影響、受容性、コスト。この5つの掛け算で決まります。掛け算ですから、どれか1つがゼロなら全体もゼロです。

MCQは信頼性とコストに優れるけれど、測れるのは知識まで。OSCEは技能を測れるけれど、運営コストが高い。mini-CEXは Does に迫れるけれど、評価者によるばらつきが課題。つまり、すべてに優れた完璧な単一評価は存在しません。だから評価は「どの試験を選ぶか」ではなく「どう組み合わせるか」の設計問題なんです。

[テロップ] ユーティリティ=妥当性×信頼性×教育的影響×受容性×コスト

まとめ+次回予告(約1分)

[映像] K教授が机で自科目の評価一覧表を作っている。表には1行しかない。

講師: K教授も自分の科目の評価を棚卸ししてみました。出てきたのは「期末MCQ50問」の1行だけ。形成的評価はゼロ、Shows how と Does を測るものもゼロでした。学生が病棟で動けないのは当然です。「動けるか」を一度も問われていなかったのですから。K教授は、講義冒頭のクイズと中間の小テストを加え、期末MCQは臨床シナリオ型に作り替えることにしました。

まとめます。評価は学習を駆動する。形成的評価と総括的評価を区別する。ミラーのピラミッドで測る層を点検する。そしてユーティリティの掛け算で、組み合わせを設計する。まずは自分の科目の評価を、1枚の表に棚卸ししてみてください。次回は、その要になるMCQの質の話。「良い試験問題の作り方」です。

[テロップ] 次回 評価2: 良い試験問題の作り方

理解チェック

選ぶ前に、いちど自分の答えを予想してみましょう(想起練習)。

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監修状態:監修待ち(開発版)